授業目的公衆送信補償金の金額が確定されました

 授業目的公衆送信補償金の金額が決まりました。この補償金の金額は、文化庁の指定管理団体である「授業目的公衆送信補償金等管理協会」が文化庁に申請し、2020年12月14日に認可されました。実施は、2021年4月1日からになります。

 この補償金の金額は、授業公衆送信する著作物の種類、授業目的公衆送信の回数にかかわらず、年度ごとに教育機関の種類に応じた

一人当たりの補償金額に補償金算定対象者数(児童生徒数)の総数を乗じた金額となります。

      

      《教育機関》         《一人当たりの補償金額(年額)》 

       幼稚園                60円

       小学校               120円

       中学校               180円

       義務教育学校 1学年~6学年  120円    

              7学年~9学年  180円

       高等学校              420円

              専攻科          720円

       中等教育学校 1学年~3学年  180円

              4学年~6学年  420円

              専攻科      720円

       高等専門学校 1学年~3学年  420円                      

              4学年~5学年  720円 

              専攻科      720円 

       大学              720円

       特別支援学校 幼稚部       30円

              小学部       60円

              中学部       90円

              高等部      210円

              専攻科      360円

 

       ※その他の教育機関は省略

 

 上記の他に、教育機関が授業目的公衆送信を行う都度、補償金を支払う方法もあります。                 

 

 この「授業目的公衆送信補償金制度」は、2018年の著作権法改正により創設されたもので、新型コロナウイルス感染の拡大により

前倒しで2020年度より実施されました。

 これまでは、著作権法第35条により、学校等は授業で著作物を著作権者の許諾を得なくても、必要の範囲内で複製・上演・演奏・翻訳・翻案等ができ、さらに、教員と児童生徒が対面で行う授業でインターネットを利用して遠隔地の別の教室等に同時に公衆送信する(遠隔合同授業)もできました。しかし、この遠隔合同授業以外の方法では、公衆送信※1は著作権者の許諾が必要でした。
 この制度が発足したことにより、学校の設置者が文化庁の指定管理団体である授業目的公衆送信補償金等管理協会※2に補償金を支払うことにより、遠隔合同授業以外の方法でも許諾を得ずに公衆送信が可能となりました。オンデマンドの遠隔授業、児童生徒の自宅での予習・復習も可能となり、学校のホームページに児童生徒の視聴に限定して著作物を掲載することも可能です。

  ただし、各学校の利用に際してはこれまでと同様に第35条に規定する5つの要件※3を満たす必要があります。この要件のうち、一つでも欠ける利用をすることはできません。


 この制度は、新型コロナウィルス感染症の蔓延による学校の閉鎖に伴い、オンラインによる遠隔授業等が円滑に行われるようにするための臨時の措置として、2020年度に限り補償金は無償として実施するものです。2021年度からは有償になります。

 この利用は、2020年度に限る「運用方針」※4によって行われます。また、学校の設置者が「指定管理者」に利用する学校名を届け出る必要があります。この「運用方針」「届け出資料一式」等及び詳細は、指定管理者団体のホームページに掲載されていますのでご覧ください。
    https://sartras.or.jp/

 ただし、この「運用方針」は、補償金制度が本格的に運用される2021年度以降に作成される「運用方針」とは異なりますのでご注意ください。 


※1  公衆送信
 公衆送信とは、著作物を有線・無線で放送、有線放送、インターネット送信によって不特定または特定少数の者に送信することです。公衆送信権とは、この公衆送信ができる権利です。自動公衆送信とは、著作物を自動送信装置(サーバー)にアップしておいて公衆からの求めに応じて自動的に公衆送信をすることです。このようにサーバーにアップしておいて、いつでも送信できる状態にすることができる権利を送信可能化権といいます。


※2 指定管理団体
 改正された著作権法により、学校の設置者が補償金を著作権者に支払うことになりますが、補償金は個々の著作権者に支払うのではなく、文化庁長官が指定した「指定管理団体」に支払います。現在、各分野の権利者団体で構成される「一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会」(略称:SARTRAS)が指定されています。

 

※3 5つの要件
 学校は、次の5つの要件を全て満たせば、許諾を得ないでも利用できます。
   1 公表された著作物であること
   2 教育を担任している者及び授業を受ける者が行うこと
   3 授業の過程において使用することを目的とすること
   4 必要と認められる限度内で行うこと
   5 著作権者の利益を不当に害さないこと

 

※4 運用指針                                                                
 この運用指針とは、「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)」を指します。これは、16の教育関係団体と16の権利者団体で構成する「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」によって作成されました。

 

 


学校教育情報化推進法が公布・施行されました

 学校教育の情報化の推進に関する法律が2019年6月28日に公布、施行されました。

 この法律は、高度情報通信ネットワーク社会の発展に伴い,全ての児童生徒が教育を受けることができる環境の整備を図るため,学校教育の情報化の基本理念を定め,国,地方公共団体等の責務を明らかにし,学校教育の情報化の推進に関する計画の策定その他の必要な事項を定め,情報化の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し,児童生徒の育成を目的にしています。

 この法の定義する「学校教育の情報化」とは、学校の各教科等の指導等で情報通信技術の活用と学校における情報教育の充実と学校事務における情報通信技術の活用をいいます。

 基本理念では、「学校教育の情報化の推進は、デジタル教科書その他のデジタル教材を活用した学習その他の情報通信技術を活用した学習とデジタル教材以外の教材を活用した学習、体験学習等とを適切に組み合わせること等により、多様な方法による学習が推進されるよう行われなければならない。」(第2条第2項)とし、情報化の推進は、デジタル資料や情報通信技術の活用のみではなく、本・雑誌・新聞等の非デジタル資料と多様な体験学習を組み合わせて行うことを明確にしています。

 この理念を実体化するために、文部科学省は「学校教育情報化推進計画」を定め、都道府県は「都道府県学校教育情報化推進計画」を定めるように努めることにしています。 

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学校教育の情報化の推進に関する法律 概要
学校教育情報化推進法 概略.pdf
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学校教育の情報化の推進に関する法律 全文
学校教育情報化推進法 条文.pdf
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平成30年度「子どもの読書活動推進計画に関する調査研究」の報告書が公開されました。

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文部科学省公表
平成30年度「子どもの読書活動推進計画に関する調査研究」報告書概要版.pdf
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子どもの読書活動推進計画に関する調査研究の報告
平成30年度「子どもの読書活動推進計画に関する調査研究」報告書.pdf
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